渡米して思うこと。
私が渡米したのが2015年。
ビザの取得に3年ほどかかったから、2011年〜2012年の間に、「現実的に」行動し始めたわけですが、その期間中に、もちろん様々な方から、できる限り情報を得ようとしました。
一番気になるのはユニオンのことだと思うし、私もそうでしたね。
そのほかにも、実際に行ってみてわかったこともあります。
また、今思い返せば、「それはおかしい」という情報も。
そのため、私が実際に知りたかった情報を元に、渡米して得た実際の情報と合わせて、今後こまめに発信して行きたいと思います。
と、その前に。
私自身、渡米した後に他の方から多々相談を受けることもありました。
ただ、そこで思うことがあります。
一番大きなことは、「何かから逃げるための海外」というベクトルでないことを心がけてほしい、ということです。
私自身、日本ではずっと会社員でしたが、一番の渡米動機は、どうしてもワールドツアーに参加してみたかった、ということです。(Aboutへ)
だから、自分を育ててくれた会社には本当に申し訳なく思ったし、「いつか他の形で恩返しできれば」と常々思っていました。
だからこそワールドツアーの一環で、武道館・東京ドーム公演があった時は、また一緒に働けて、本当に嬉しかった。
何より、今でも舞台照明の仕事をしているから、「転職ではなく、移籍に近い」と個人的には思っています。
一度、海外への相談を受けた際、「会社が辛くて、転職したい。できれば君みたいに、海外なんて良いなと思って。」 という内容に、うーん、正直これには困った。
スタンスも、モチベーションも、全く違うから。
残念ながら、このような相談には乗りづらいし、自分の活動も、実はそういうベクトルに見えているのかなと、少し凹んでしまった。
母国との関係性を、まずしっかり。
そういった方の話を聞くうちに、もう一つ顕著だったのが、「日本に対する何らかの不満や恨みに似た感情」が、主な動機である場合が、多々ありました。
それはそれで、「海外でやってやる!」という、反骨心のようなパワフルな面もあるということも、十分理解できますし、それを否定するきもありません。でも、やはり私はおすすめできない。
その理由をお伝えしたいと思います。
時としての強制帰国は十分ありえる。
自分に非がないことで、帰国しないといけないことなんて、ザラにあります。
私自身、ビザの更新の際、その手続きが遅れ、3ヶ月ほど強制的に日本に帰国し、母国に留まらないといけない期間がありました。
遅延の原因は一概には言えませんが、その時の大統領の移民への采配や、世界情勢にモロに影響を食らうのは事実です。
元々は2週間の作業が、3ヶ月です。
もちろん、バイトでもしない限り、その期間、収入=ゼロ。
その時、ご好意で前の会社の現場に出させていただき、本当に助かったのを覚えています。
喧嘩別れでの渡米では、ありえなかったバックネットです。
これは、夢どうこう以前に、食べていくため、生活していくために、です。
もし海外挑戦が挫折したら、どうするのか?
自分が日本人である限り、母国は母国。
帰化、というのはビザ取得と全く別のところにあると思います。
これはアイデンティティーに関わることだからです。
サッカー選手をはじめ、芸能人がオリンピック出場権欲しさにカンボジア人に帰化する、ということも目にしますが、正直、簡単に決断できることではありません。その決断を否定するわけではないし、すごい決意だと思います。
ただ、私のような、仕事どうこうのレベルで考えれば、普通はナンセンスです。
また、グリーンカードにしても、取得まで何年もかかるのが当たり前です。
それまで「一度も帰国しない」というのは、確率的にありえないと思います。
だから是非、母国とは良好な関係の上、海外挑戦してほしい。
母国が大きなバックネットになる関係性を、築いてからの挑戦にしてほしいと思います。
退路を断つ、ということ。
よく、「退路を絶って」ということを聞きますよね。もちろん中途半端は良くないと私も思います。
例えば、会社を休職扱いにして、その期間中にアメリカで働く。という形態とかでしょうか。
この場合、完全にどっち付かずで、どちらのメリットにもならないですよね。
受け入れるアメリカ側も、雇えるのか、どうか。
また、いきなり抜けられて、勝手に帰ってきた場合の日本側も、どう使っていいのか。
またすぐいなくなるんじゃないの?って不信感は簡単に払拭できるでしょうか。
この場合は、スパッと「退職して行きます!」という方が、個人的には納得しますが、あくまで退職を推奨するものではありません。いろんなかたちがあるからです。
私が言いたいのは、退路を断つ=母国との関係性をこじらす、ではない!ということです。
潔さは、そんなことに起因しないし、たとえそういう気持ちがあったとしても、それは内にだけ秘めておくことが、スマートではないか、と私は考えます。
まとめ
このような記事を出していくのには、やはり理由があって。
実際に渡米されて、活躍されている方からの情報というのは、自分自身が準備期間中に、喉から手が出るほど欲しかったし、その中には「あえて教えてくれなかった」人もいたことに、自分自身、とてもショックを受けたこともありました。
こういうモチベーションの部分も、ネガティブなことを含んでいれば、なおさら人には言わないでしょう。
ただ、こういう動機の部分における情報も、次に伝えてこそ意味があるものとも考えます。
自分がどのようなスタンスで渡米したのか、現実逃避だったのか。日本からの逃走だったのか。
そうではない事を明確にすることは、今後情報を出す前に大前提として必要かなと思い、ここに明記してみました